ART@DAIMARU

day
May 27, 2021

アート大丸始まっております。百貨店がアート作品で溢れています。
私たちの展示は7階の次世代アートフェスタにあるのですが、6階のプレミアムアートコレクションにはKAWS、バンクシー、草間彌生、白髪一雄、村上隆、奈良美智と現代アートの人気どころが所狭しとゴロゴロ並んでいます。

美術館に並んでいるのと違ってすべて値段がついているのでとっても面白い。とてつもない値段のその価値、そこを作り上げたアーティストやディーラーやコレクター達のセンスや視点や策謀に思いを馳せるとわくわくします。一見取るに足らないものが途方もない値段だった時のそのギャップにやられる感じ、粋にも近いような、なんだろうこの心理状態。ツンデレと同じ仕組み?生存には全く無価値なものに価値を生み出す、人間の知性と感性の塊みたいなもんだな、ファインアートって。
そういえば桃山時代の堺商人の生み出した名物茶道具の価値や利休と李朝、柳宗悦の民芸だって同じことかもと取り留めもなくあれこれ思い巡らせながら帰りました。

ギャップにはまったので、一見ゴミかと思いきや途方もなく時間と労力注ぎ込んだ蒔絵施した高額作品作りたいな笑

そんな刺激を日常の場である百貨店で受けられる面白い催しです。美術館にはない肌着売り場とかカツラ売り場とかと隣接したごった煮感も楽しんでください。そしてもちろん7階の私達のブースにもお立ち寄りくださいませ!

コロナ禍に思う

day
Apr 26, 2020

予定より1ヶ月遅れてロンドンから戻った作品が玄関を占領していてちょっと困ったなあと眺めながら、この1ヶ月のことをあれこれ思う。
コロナ禍のために飛行機が減便となり、フライトに乗れずロンドンをさまよっていたこの荷物。おかげで東京高島屋での展示は過去作となりました。大変な時世の中にも来場くださった方々、そして、あれれ、作品違うなあ?と思ってくださった方、所蔵品を貸してくださった方に遅くなりましたが心よりお詫びと御礼を申し上げます。
ちなみにプロジェクトパートナーのAnaïsに可愛い赤ちゃんが誕生したので、乾漆ベビーバスを展示しました。
この1、2ヶ月、世界が変形していくのがまざまざと見えました。
でも3.11がたくさんの作品を生んだように、この桁違いの禍からも劇的な淘汰や生活文化の変化はもちろん、たくさんの作品が生まれてくる。悲劇とアートは深い関係性にあるから、この禍を乗り越えた後の世界は豊かなのではないかなとも思うのです。
こうして家に籠っていると、遥か昔に祖先がどこかに籠って身を守っていた記憶が蘇るような気すらしてくる。夜の暗闇、獣達、外に脅威があるというなんだか懐かしい感覚。
こんな日々も最前線で闘ってくださっている方々あってのことです。
みなさまも引き続きくれぐれもご自愛ください。どうぞご無事で。

Looking at my works which arrived from London one month later than scheduled and is causing a bit of trouble by taking up most of the space in my entrance hall, I am reflecting on the events of the past month.
Due to the reduction in flights due to the Coronavirus calamity, this shipment wasn’t able to board the plane and was stuck wandering around London. Due to this, the exhibition at Tokyo Takashimaya featured my previous works.
I wanted to give a belated thanks and to apologize to those who visited despite the current difficult situation as well as those who noticed and thought “Isn’t this a different work?” as well as those who was able to lend me works from her collection.By the way, I exhibited a bath/bed for baby because a beautiful baby was born to my project partner Anaïs on Feb.
In the past month, we’ve seen many changes in the world.
However, just as March 11, 2011,Fukushima gave birth to many works, this current calamity which is orders of magnitude higher will not only cause dramatic shake-ups and changes to the culture of daily life but also be the impetus for many new works to be created. There is a deep connection between tragedy and art and I believe the world will be a richer world after we overcome this calamity.
I am stuck at home like this, I feel as if the memories of my ancestors somewhere in the distant past are being revived. This is a somehow nostalgic feeling of the threats lying outside such as the darkness of the night and beasts…
With gratitude to the people who are fighting on the front lines.
Dear Friends, Please take a great care and stay safe.

Collect

day
Feb 26, 2020

Collect 2020, the 1st day was VIP and collecters’ preview.

時の流れが速すぎて、クリスマスツリーもお正月飾りも出すのを忘れていた年末年始。
遅ればせながらあけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

金曜の夜は『12cmの世界展』のオープニングに行きました。
12cmの世界なので、12cmの正方形の作品という規定です。お誘いいただいてから、何を作ったらいいかなあと出すか出さないか迷っていました。
そうしたら、昨年最後のお仕事であるオノマトペマッププジェクトのサンプルがすべて12cmの正方形、これぞ12cmの世界だった!と気づいた。11cmでもなく13cmでもなく、12cmちょうど!小さな偶然に嬉しくなって、出品することにしたのです。
ちょうど余りも数枚あった笑。それを漆質感サンプルの中で一番気に入っていた「ちぢみーしわっちわ」に塗り直しました。新年から「しわっちわ」もなーと思い、タイトルは変えましたけど。

そういう訳で大阪中之島、京都にはない水とネオンの光にちょっと心踊る。そんな夜でした。

寝る前に物語の世界に没入したくて、娘の本棚から『大草原の小さな家』。
ローラ・インガルス・ワイルダーは65歳の時に初めてペンをとり、幼い頃の思い出を元にこの壮大なシリーズを書き始めたというからびっくりする。肌を撫でる風の香り、雲の動き、空の表情、大地の見せる様々な色、小さな動物たちの気配や物音、オオカミの息づかい、かあさんの夕ごはんの支度の匂い、暖炉のちらちらと揺れる明かり。
65歳になったときにこんなに細部まで生き生きと思い起こせるなんて、人間てすごいな。
わたしは何を記憶の奥深くしまえてるだろう。

今年は一日一日丁寧に生きたいと思います。

数学ブックトーク

day
Dec 15, 2019

念願の森田真生さんの『数学ブックトーク』に行けました。
クラクラするほど面白く刺激的で3時間必死でノートとった。自分の中に溶かし込みたいと見直しても、ミミズが這い回っていて、ミミズでしかなくて、ミミズがなかなか意味をなしてくれなくて困る。
世の中には凄い人がいるもんだなぁ。次回も来ようと誓う。数日前からしっかり寝てしっかり食べて万全体調整えて臨まなければ、と思う。字は、キレイに書こうと思う。

授賞式

day
Aug 08, 2019

京漆器展理事長賞をいただいたので授賞式に行ってきました。
今お世話になっている京都市の方々にもお会いし。 作品選評に立派な言葉をいただきました。こちらに載せております→click
作品意図とはまた違う視点からの意見をもらえたりすると、ほおお、そんな見方が!と唸ります。 見てくださる方の想像力と共創できたようにも感じるのです。
そして今日この頃思うこと、私には誰かの救いとなる音楽も小説も映画も作れないけれど、それでも見る人の爛れた心やくしゃくしゃになった心、分厚くなってしまった心を一時でもハッとさせられるものを作れるようになりたい。心が動いたら生へ引き戻せると思うから。
そういえばもうすぐ弟の命日。

器ふたたび

day
Jul 21, 2019

TCIラボの方々、アトリエ・ド・パリの館長さんフランソワーズ、ストラテジストのグザビエ、京都市の方々、それから留学中の学生さん達がたくさんでアトリエといってもただの家なのですが、来てくださった。
アトリエは一軒家の普通の一部屋なので数人しか入れないし、申し訳ないなあと恐縮して、ああ、ちゃんとしたスタジオを持てるくらいになりたいわあと悲しく思いつつ、リビングでお茶をお出しすることに。
せっかくなので、<襲 Kasane>で食べてもらう。<襲>は一つずつ色と質感を変え、重ねた時にグラデーションになるように作った12枚のお皿です。組紐の仕覆に入れてます。
仕覆から取り出して、テーブルに並べる。緑庵の数種類の主菓子を、これはどのお皿に合うかなあ、と考えつつ載せた。そうしたら歓声があがって、思ってもみなかったほどみなさん喜んでくれる。
12枚1組のお皿でみんなで食べる。なんだかとっても一体感。
そしてAnaïsとわたしの作品の構想と進捗等々を報告、検討。
帰り際、これは本当にIchigo-Ichieだったねと言ってくれたフランソワーズ。立派な日本家屋でなく、こんなカオスなリビングでそんな言葉をいただいて少し驚いて、一期一会というと素晴らしい茶室空間でというイメージがあるけれど、そうか、もっと精神的なものだったんだな気づかされる。
 本当のとこ、最近は食器を作ることへの興味を失いかけていたのだけれど、つまり、究極は、禅僧の応量器だな、と思っていた。すぐ極端に走ります。あまりにも物が溢れていて、デコラティブな食器も溢れていて、食傷していたのです。今も応量器に勝るものはないと思うけれど、でも、こうして喜んでもらえて、再び、器も作り続けたいと胸が熱くなった。

“ Entropy”

day
Jul 21, 2019

止まっていた時間が再び動き出したように、先週からふたたび動き出したSavoir-faire des Takumiプロジェクト。
自分の中で存在の大きくなっていた物理の世界、京都に到着したばかりのAnaïsから「エントロピー」という言葉を聞いて、離れているのになんでリンクしてるの!と驚き嬉しかった。決して元に戻ることのない熱量を表す「エントロピー」という物理学のことばをわたし達はテーマにすることに。物理学の中での本来の意味を真に理解できないのは百も承知と開き直って。
みんなのプレゼンを聞きながら、作品の構想が自分の中で流転する。
こういう方向に行くとは思っていなかった。
むくむくと、自分の中に眠る破壊衝動が出てきたり笑。
そしてまたこの数日でクルクル流転。倒れたり起き上がったりにっちもさっちもいかなくなったり。大学生の頃美術史の授業でわたしは何を勉強してたんだろう。教授は何を教えてたんだろう。
そしてまた別件で、Fine artとApplied artの根深い違いのところへ嵌まり込む。素材ありきで作っているのはApplied artで、自身の思想ありきで素材を選ぶのがFine artなんだろう。マテリアルにこだわっている限り近代というか。ところがマテリアルにこだわるのは素晴らしいことだし、きっと対立的なニ元論の時代は終わって、東洋的な一元論の時代が来るんじゃないかな。先端的な素粒子物理学は以前からそうであるように。アートだって。市場で中国の存在感も圧倒的なのだし。と頭の中もぐるぐるカオス。
ああ、でも思想を作らないと。それはいつの時代もどこでも変わらず必要なことだから。

figureを軸装

day
May 17, 2019

典雅堂の表具師水島さんと打ち合わせ。
漆の映像作品『figure』を映すための白紙の掛け軸を作ってもらうのです。わたしも漆を塗った布など持参。

表装の世界は全く未知でしたが、いや未知のままですが、きれいな紙やら、美しい布やら、なんだかとても柔らかい世界でした。そういえば水島さんも柔和な方です。
でも、マテリアルに変化をもたせるため銀箔をご自身で硫化してたくさんの色味を作られたりと、色々と熱心に研究されています。お軸にはいくつも要素があって、一文字とか、軸先とか、地とか、コーディネートのようにあれこれ考えるのは愉しい~。

わたしは、絵といえば額に入れて壁に飾るもの、という感覚で育っている現代日本庶民です。そんなわたしにとって、掛け軸という完成されたフォーマットができあがるまでの歴史の中の変遷や精神活動はどんなだったのだろう、と思うとすごくわくわくして、もはやエキゾチシズムぐらいの距離感で興味をひかれます。

絵をくるくる巻いて持ち運べるなんて!とか、ほどけば完全に平面布地へと戻る着物の発想と同じ思考回路で作られてる!当たり前か、とか、風帯を生み出した美意識はなんぞやとか、色んな思いがぐるぐる嵐のように巻き起こってぽーっとなりました。
ちょっと調べたら最初の起源はやはり中国で、仏画などを掛けて拝むためのものだったそうです。コーカサスやアフガニスタンの山岳民族が掛ける、拝む対象としての織物を思い出しました。

そして完成した見事なこの掛け軸というシステムに、ははーっと改めて感動しました。
自身のDNAの中に眠っている記憶が、やっぱこれだろっと呼応していました。

漆のお軸、いや、お軸のスクリーン?どんななるかなー。

あ、そういえば、の話です。
柴田是真という江戸後期〜明治期に活躍した漆界の巨人がいます。
水島さんによると、是真の漆絵の軸は、巻いても漆部分がバキバキには割れないらしく、そこで真贋を見極めたりするそうです。(漆は乾くと柔軟性はほとんどなく、曲げれば普通割れてしまいます。特に日本産。東南アジア方面の漆はゴム質が多く、多少柔軟性があるようです)
軸装する必要があった時代の漆絵には、巻くことで湾曲させられても大丈夫なように、何かしらの技術があったのかもしれません。それが是真独自のものか、それとも漆業界に確立されていたものかはわからないけれど…。漆関係の書籍あたってもそんなことは載っていないし、是真関係の研究を探せばいいのかな。何かご存知の方があれば教えてください。あ、別にわたしは漆絵をするわけではないのですが。

BnA Alter Museum

day
May 12, 2019

漆の映像作品「figure 」に音楽をつけてくださった青木孝允さんの作品を見にBnA Alter Museumへ。すごいたくさんの人が河原町通りまで溢れてた…。 青木さんの作品 TRAVELING ROOM。こんな音の粒粒を浴びられる空間独り占めにできるなんて、京都だけど泊まりたい。翌朝起きたら頭ん中から身体中の中身という中身が新しく総取っ替えされていそうです。
漆の映像のために音楽を作っていただいた時も、音楽を作ってもらう、ってなんて贅沢なことなんだろうと感激したばかりでした。青木さんの言うように音楽って波長というか物理的な波のようなもので、液状の漆に合う、その漆を落としているわたしの身体に合う、そんな一つの新しい波長を作っていただいたようで、感動したのでした。